リーンキャンバスの活用は、プロダクトの簡潔な説明や、事業アイディアの検証にとても役立ちます。聞いたことはあるがよくわからない方や、作り方を詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
まずはじめに、この記事のターゲットとなる方と、この記事で説明しないことを記載します。
上記については、下記の書籍に説明を譲らせていただき、以後はリーンキャンバスの有効性とその作成方法について説明させていただきます。
ありがたいことに、mofmofでは、新規事業やMVP作成について、多くのご相談を頂いております。ご相談の内容は多種多様であり、どれも面白そうな案件ばかりなのですが、プロダクトの内容に関わらず、下記のような項目が重要なのではないかと考えています。
これらの項目が重要と考える理由としては、「このプロダクトは成功するのか」の確信度を高くしてくれることや、向かう先(ゴール)がはっきりすること、などが挙げられます。これらは、プロダクト開発チームのモチベーションや、開発のスムーズな開始のために重要な要素です。
素晴らしいアイディアが浮かんだ時、「これなら行ける!」と感じたら、いち早くプロダクトを世に出したいと思うだろうし、それが経験や実績によって裏付けられた感覚であれば、周囲を納得させることもできると思います。
しかし、同時に「これで本当に大丈夫なのか?」「勢いだけでスタートしていないか?」という疑問や不安も浮かんでくるのではないでしょうか。
では、アイディアが浮かんだだけ、という状態でも、プロダクトに論理的/体系的な裏付けを与えることはできないのか。ここではじめに思いつくのは、「事業計画書」の作成だと思います。しかし、事業計画書の作成は想像以上に時間と労力が必要となる作業です。
もっと簡単に、短時間で、しかもわかりやすく人に説明できる形でできないか。これらの課題を解決してくれるものが、今回のテーマ「リーンキャンバス」です。リーンキャンバスは、私達のような開発会社への相談時にはもちろんのこと、他のステークホルダーに対する説明にも、とても役立ちます。成功のキーとなる要素のまとめを、素早く/漏れなく/簡潔に作成することができるからです。
では、この一体リーンキャンバスとはどのようなもので、どうやって作ればよいのでしょうか。これから以下に説明していきます。
リーンキャンバスは、LEANSTACK の創始者であるアッシュ・マウリャが設計したビジネスモデル図です。 彼がこれを設計をした理由は、leanstackのリーンキャンバスページ に記されています。
「事業計画書は、長すぎて書ききれず、めったに更新されず、そしてほとんどの場合、誰にも読まれません。しかし、仮説を文書化することはとても重要なことなのです。」
事業計画書を使用せず、短時間で簡潔な文書をどうすれば作成できるのか。アッシュは、以下の要素を1ページのキャンバスに表現することで、MVPプロダクトの作成で重要となる点を、作成前に洗い出すことができると主張しています。
キャンバスの作成は、事業計画書と比較し、下記メリットが挙げられます。
アイディアをこれらのキャンバス各要素の仮説に落としこむことで、仮説の検証をしやすくしてくれます。ビジネスキャンバスを元に作成されたこれらの要素は、MVP作成で重要となる点を網羅しており、かつシンプルに書けるよう設計されています。
まずはじめに、作成にあたっての前提を説明します。9項目それぞれの詳しい書き方については後述します。
「わからない」ということも事実ですので、空欄は問題有りません。また、リーンキャンバスは「1回書いたら終わり」というドキュメントではなく、常に更新されるべきものですので、後で埋める、でOKです。
慎重になりすぎず、正しい/誤りを気にしすぎず、時間を決めて、15〜20分、最大でも30分程度で、一気に描きあげてください。
キャンバス自体が短文でしか書けないように設計されているため、あえて言及する必要もないですが、短文で簡潔に書きましょう。長文となったら項目を分け、箇条書きのような形にするのがベターです。
続いて、9項目の書き方について説明します。それぞれ具体例を添えますが、絶対的な指標ではないので、参考程度にご確認ください。
例)学生/訪日観光客/英語を勉強したい人、など
例)就活中の男子学生/複数回の訪日歴があり、東京や大阪ではなく地方で日本の文化を体験したいと思っているアメリカ人/ビジネススキルとして英語を習得したいが、教室に通う時間や費用を懸念しているビジネスマン
例)就活中、都内での待ち時間が多いが、カフェで無為に時間を過ごすより有意義な待ち時間にしたい
例)暇なサークルの同期と電話で状況シェア/リラックスするため本屋やカラオケで気分転換
例)就活で待ち時間ができたら、周囲にいる就活生とのマッチングができるアプリを作り、情報や刺激を与えあえる時間を提供する
例)10万円/月 200円/月の会員制にし、まずは2ヶ月で500人の登録者(課金ユーザ)を獲得したい
例)コーヒー1杯のお金を、有意義な時間に変える。未来を開く、仲間を作ろう。 (ちょっと寒いですね、すみません。)
例)このプロダクトは、「就活生同士のソーシャルランチ」のようなものである
例)まずは部活/サークルの後輩に勧めてみて、使ってもらうことから始める
例)最初の3ヶ月の目標値を記載
例)就活生のお財布事情を考慮した費用… (この項目は個人的に一番難しさを感じています。)
例)
書き終わると、ターゲットや課題、収益構造などの具体的なイメージが湧いてきます。この時点でしっかりイメージできないもの、失敗が想像されるものは、一旦寝かせておきます。完全ボツにしてしまわない理由は、あとから追加でアイディアが出てくる可能性を潰さないためです。
逆に、これはうまくいきそう、と感じたものがあれば、まず周囲の人間(同僚や上司、課題の対象となりうる友人など)にピッチで話してみましょう。賛同してくれたり、良い批評やリスクについての指摘をしてくれる場合もあるので、フィードバックを盛り込んでキャンバスを更新していきます。
一旦自分の周囲へ確認したら、次はキャンバスに描いた、「①’アーリーアダプター」にインタビューします。インタビューは、仮説が確実なものになったと自信が持てるようになったり、新たな課題や改善点を発見にとても有用です。しかし、インタビューを行う際には、下記の点に注意してください。
ニュートラルな立場から意見がほしい、と思っていても、閃いたナイスアイディアと、多少時間をかけて作ったリーンキャンバスを、どうしても認めてほしくなるものです。そのような心理が働いた際にも意味のあるインタビューとなるよう、上記の心がけは大切です。
さて、ここまでくると、自分のアイディアがどれだけ求められているものか、モノになりそうなものか、ワクワクしてくるのではないでしょうか。わずか一枚のキャンバスと、検証によりサポートされた仮説は、モチベーションを更に上げ、プロダクト開発とサービス運営の成功の後押しをしてくれます。
長い文章となってしまいましたが、いかがだったでしょうか。アイディアが浮かんだら、まずリーンキャンバスを描いてみましょう。キャンバスは、アイディアのイメージの共有を容易にし、プロダクトの仮説を適切に検証する下地を作ってくれます。
何十枚にも渡る事業計画書を書く必要はありません。1枚のキャンバスに15分ほどで、そう、この記事を読み終わるよりも短い時間で、キャンバスを描きましょう。
キャンバスによって事業のイメージができたら、次はプロダクトの開発です。
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