新規事業で欠かせないブルーオーシャン戦略とは?ポジショニングマップの作り方も紹介!

新規事業を立ち上げようとしている方であれば「ブルーオーシャン戦略」というマーケティング用語は一度は聞いたことがあると思います。

言葉の意味は知っていても実際のビジネスでの活用の仕方がわからない」 「新規事業でいかせるフレームワークを知りたい

このような悩み・要望に応えるため、「ブルーオーシャン戦略」の概要やメリット・デメリットを解説します。今回の記事はビジネスでの経験が浅く、新規事業立ち上げに必要なマーケティングの基礎知識やフレームワークを知りたい方向けの内容となっております。

最後にはブルーオーシャン戦略で重要なポジショニングマップ作成の実例も紹介しております。

新規事業では欠かせない!ブルーオーシャン戦略を解説

マーケティング用語の中でも重要なブルーオーシャン戦略。その基本事項を整理ししていきます。

ブルーオーシャン戦略とは

ブルーオシャン戦略とは「自らが新しい市場を開拓する」戦略を指します。この戦略では「新たな価値創造」に重点を置き、顧客の潜在的な需要を満たす商品・サービスの提供を目指しています。

このブルーオーシャンという考え方はフランス欧州経営大学院のチャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授によって提唱されました。

ブルーオーシャンの対義語として使用されている「レッドオーシャン」は、過激な競争が行われている市場を指すのに対して、「ブルーオーシャン」は未開拓かつ成長する可能性を秘めた市場を意味しています。

ブルーオーシャン戦略のメリットとは

ブルーオーシャンのメリットは2点挙げられます。

1点目は「高単価・低コストでの商品販売」が望めるという点です。

ブルーオーシャンでは競合相手が存在しないため、自社の手で価格相場を決定できる上、競合他社が参入する前に自社に有利な環境を作れます。この有利な環境は独自の流通・販売チャネルを確保し低価格での商品提供によって実現されます。

2点目は「ブランド育成による長期的な成長が見込める」という点です。

ブルーオーシャン戦略は新製品を通して顧客の認知度を向上させることに役立ちます。潜在的な顧客にその市場の第一人者として認知されることで、他社が模倣できないブランドの確立が期待できます。

新規事業を立ち上げる際にはニッチな領域を選ぶことでブランド育成を行いや好くなるでしょう。

ブルー・オーシャン戦略のデメリットとは

ブルーオーシャン戦略のデメリットは2点あげられます。

1点目は営業力や開発力だけでなく「高度なマーケティングの知識が求められる点」です。ブルーオーシャン戦略を実践するには戦略キャンバスやアクションマトリックスなどのフレームワークに精通している必要があります。

それらのフレームワークを活用することで初めて、他社との差別化や市場分析を行うことができます。ブルーオーシャン戦略を導入する前に自社にマーケティングの基本的な知識を有する人材がいるか、確認しておきましょう。

2点目は「競争優位性を失いやすい点」です。

ブルーオーシャンでよくある失敗例として、他社に模倣されることが挙げられます。経営資源の豊かな大企業が新規事業を立ち上げるためにブルーオーシャン戦略を行なった結果、短期間で他社に模倣されて競争優位性を失ってしまうのはよくある話です。

他社からの模倣を避けるためには、真似できない差別化や新たなイノベーションを継続する必要があります。

他者との差別化に成功!ブルーオーシャン戦略の成功事例を紹介

次に実際にブルーオーシャン戦略を実践することで成功した事例を2社紹介します。

シルク・ドゥ・ソレイユ

シルク・ドゥ・ソレイユは、サーカス業界でブルーオーシャン戦略を成功させた企業として知られています。当時のサーカス市場では動物を扱ったパフォーマンスが主流でした。

しかし、シルク・ドゥ・ソレイユはバレエや演劇などの要素や観客を飽きさせないストーリ性を導入することで、「芸術」としての地位を確立。それに伴いターゲットが子供から大人に変わり、価格設定を引き上げることに成功しました。

このシルク・ドゥ・ソレイユの戦略は新たな市場を開拓しつつ顧客単価を改善したという点でブルーオーシャン戦略の模範と言えるでしょう。

任天堂Wii

任天堂はブルーオーシャン戦略を生かすことでWiiの開発を成功させました。

当時のゲーム業界の顧客層は「10代後半」。任天堂は新たなブルーオーシャンを発掘するためにターゲットの年齢層を変更しました。「10代後半」から「これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人」が楽しめるゲームを制作するというアイディアに着想し、Wiiが開発されました。

任天堂はターゲット層を拡大することで今までのユーザーに好まれた複雑な仕様を捨てて、誰でも簡単に遊べる手軽な性能を追求しました。

さらに任天堂はブルーオーシャン戦略によって低コストを達成しています。既存のゲーム会社の多くはソフトの販売から収益を得ていたましたが、Wiiは不要な機能を徹底的に取り除くことで生産費用を抑えることに成功しました。

任天堂は既存の顧客層ではない「子供・大人」をターゲットにすることで、新規開拓をし、他者との差別化を実現しました。

ポジショニングマップの重要性と作り方を事例とともに紹介!

 ポジショニングマップを作成することはブルーオーシャン戦略を実行する上で欠かせません。なぜなら、ポジショニングマップにより市場における自社の立ち位置や市場の「空白」を見つけ出せるからです。

ポジショニングマップの概要から実際の作成方法までを紹介します。

ポジショニングマップとは

ポジショニングマップとは、市場における自社の優位性を確保するためのフレームワークです。縦軸・横軸に商品・サービスの特徴をあげて、枠内に競合名を明記します。市場の中で自社がどの位置を狙うべきかを視覚的に理解しながら戦略を立てられるのがメリットです。

その一方で縦軸・横軸を正しく設定していない場合、期待している成果が得られません。ポジショニング戦略はその後のマーケティング戦略に大きく関わるので慎重に分析しましょう。

ポジショニングマップの作り方

筆者のポジショニングマップを実際に作成した経験に沿って塾業界に関するポジショニングマップの作成方法を紹介します。

1.自社のKBFを一通り整理する

まずはKBFの整理を行います。KBFとは、「Key Buying Factor」の略称で、顧客の購買判断に影響を与える、商品・サービスの特徴や機能を指します。

最近では商品そのものの価値に加えて、口コミやレビューといった第三者による評価もKBFの要素として考えられています。

塾業界の場合、以下のようなKBFが考えられます。

  • 授業料
  • 講師の質
  • 交通の利便さ
  • 生徒フォローの充実さ
  • 合格実績
  • オンライン授業
  • 教材の質

このようにポジショニングマップを作成する前にKBFを一通り整理しましょう。

2.KBFの中から重要な点を列挙する

KBFの中から重要な点を列挙する際に大切なのは、「ターゲットを明確に設定する」ことです。なぜなら人によって年齢、環境、価値観などが大きく異なるからです。

今回のターゲットは「勉強習慣や勉強方法が身に付いていないが、首都圏の難関私立大学への進学を考えている方」であると仮定して、KBFを選定していきます。

このターゲットにとって「きめ細かい個別指導」と「難関私立大学の対策が得意」という点が重要です。一方で、教材の質やオンライン環境などは重要な要素ではないと判断できるでしょう。

3.自社と競合他社のKBFを比較していく

KBFの列挙が終わったら、自社と競合他社のKBFを比較しながら整理します。 自社と競合の特徴を以下の表にまとめました。

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各企業のKBFを整理することでA社の優位性が掴めてきます。これらの情報をもとにポジショニングマップを作成していきます。

4.ポジショニングマップの作成・分析を行う

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各企業のKBFのリストが完成したら、最後にポジショニングマップを作成します。優位性を明確にするために「個別指導・集団指導」を縦軸に、「私立・国公立」を横軸にポジショニングマップを作成しました。

個別指導塾であるA社は私立の受験対策を得意としています。そのため、A社は私立対策に特化した個別指導塾という立ち位置を確保していく戦略を行ないます。

そうすることで、A社は講師が充実している点で共通しているB社と差別化を図ることが可能です。また価格帯が近いC社とも個別指導という点で授業形態が異なるので、独自の路線を取ることができます。

ポジショニングマップを作成することの利点は「競合と比較した際の優位性」「市場における空白」を確認できる点にあります。特に新規事業を開始する場合、市場において狙い目はどこかを把握することが自身のブランドの構築にも繋がります。

ポジショニングマップ作成の注意事項

適切なポジショニングマップ作成のために抑えるべきポイントを2つ解説していきます。

1.重要度の高いKBFを縦・横軸に設定する

ポジショニングマップを作成する際には「重要度の高いKBF」の選出が肝心です。 KBFを選ぶ際に起こりがちな失敗は顧客ではなく企業目線でKBFを決めることです。

特に自社のサービスやプロダクトを開発している方だと、自社の商品に惚れ込んでしまっており、客観的な視点が抜け落ちていることがあります。

KBFを決定する際には実際の顧客からアンケートをとるなどの手法は有効でしょう。

2.相関性の低い要素を縦軸・横軸にする

ポジショニングマップを作成する時には「相関関係の低いKBFを選ぶ」ことを意識しましょう。

「値段・品質」「値段・容量」といった2軸を選ぶことにあまり意味がありません。なぜなら、基本的に右肩上がりの直線上の図表が完成してしまうからです。

どの業界においても「高価格であれば高品質」「低価格であれば低品質」という傾向が見られるでしょう。もし「値段」を軸として使うのであれば、「値段・デザイン」のように相関関係の低い2つの軸を選ぶと良いでしょう。

まとめ

今回の記事では「ブルーオーシャン戦略概要とメリット・デメリット」「ブルーオーシャンの成功事例」「ポジショニングマップの作成方法」を解説しました。新規事業を運用する中で競合を分析し、戦略を立てることは重要です。これから事業を立ち上げようとする方の参考になれば幸いです。

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記事の作成者・監修者
webメディアの運用を通して企画立案・記事構成・記事執筆といったライター兼編集活動を行なっております。 最近は筋トレと囲碁・将棋に熱中しています。
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