リリースはゴールではない、スタートだ。事業を失敗させないシステム開発予算の考え方を解説

システムの開発を考えている方で、「これくらいのシステムを作るにはいくらかかるだろうか」と考えいる方はいるでしょうか?

その考え方は場合によっては少し間違っているかもしれません。

この記事では、「開発予算は事業にチャレンジする期間に対する投資である」という考え方について解説していきます。

システムも事業同様成長させていく必要がある

システム開発の世界では昔からのウォーターフォール開発の文化が根強いせいか、「システム開発はリリースしたらゴール。その時点でシステムは完成されている」という考えが未だに残っているように感じます。

皆さんが新しい事業を生み出すとき、サービス開始をゴールだと思って事業計画を立てますか?

答えはNoだと思います。サービスの開始はあくまでスタートであり、そこからPDCAを回しながら徐々に事業をブラッシュアップして育てていくという発想を当然のように持っているかと思います。

ITシステムにおいてもそれは同じです。 ファーストリリース時点で完璧なシステムなど存在しません。

仮にシステムが完璧だったとしても、それに対応する事業のほうはどうでしょうか?  サービス開始からずっと変化のない事業が今の時代に生き残れるとは思えません。

むしろ事業とITシステムが密接に関係するようになった今こそ、システムも「試行錯誤してブラッシュアップしていく」という考え方が求められます。 顧客のニーズや市場の変化をもとに、システムも常に変化させていく必要があるのです。

なお、この考え方は社内で使う業務システムだとしても同じです。 よっぽど定型化された業務フローを構築できていない限り、業務の内容は常に変化していくため、作りきりのシステムではいずれ業務にマッチしなくなります。 それだけでなく、より効率的な業務フローを思いついた時にもシステムが足枷になってしまう可能性が高いでしょう。

システムを成長させるには継続的な開発が必要

システムを変化、成長させていくためには、開発を続けていく必要があります。 「保守」ではなく「開発」です。

可能であれば、ファーストリリース後もリリース前と同じだけの開発リソースを投入するべきでしょう。 開発を一度止めてしまうと、その後に再開する時のキャッチアップコストがとても高くなります。

システムエンジニアは常に不足しており、同じエンジニアが担当できないケースもあるでしょう。 別のエンジニアが担当するとなれば0からのキャッチアップとなり、非常にコストがかかります。

仮に同じエンジニアが担当できたとしても、「3ヶ月前のコードは他人が書いたコード」と言われることもあるくらいシステム開発は非常に複雑であり、以前と同じだけのパフォーマンスを発揮できるようになるには少なくない時間が必要になります。

リリースまでの予算しか確保しないと事業失敗の確率が高くなる

しかし、世の中にはファストリリースまでの開発予算しか確保せずに、事業とシステム開発をスタートしてしまうケースもあります。 経験上、その事業は失敗する確率が非常に高くなります。

リリース後、ユーザーから良い反応があったとしても悪い反応があったにしても、即座にそれをシステムに反映することができないためです。

もちろんオペレーションや見せ方でなんとかなる部分もあるかもしれません。 しかし、無理なオペレーションを組めば、その分事業チームは疲弊していきます。 そして事業の成長に割ける時間がどんどん削れていくのです。

ユーザーニーズを取り入れられない、事業チームは疲弊し事業成長に全力で取り組めない、そのような事業が他の多くの競合に勝てるでしょうか?

システムを手にいれるための費用ではなく、事業にチャレンジする期間に対する投資という考え方

ではどのように予算を確保すればよいのでしょうか?

それは「このシステムを作るにはいくらかかる」という発想ではなく「この期間この事業にチャレンジするための投資」という考え方をもって予算を確保することです。

例えば8ヶ月の間に事業を軌道に乗せる計画を立てているなら、8ヶ月分の開発予算も最初から抑えるべきです。

当然トータルで開発にかかるコストは高くなります。 しかし、コストを出し渋ってファーストリリースまでの予算しか押さえていないと、事業は失敗し、作ったシステムも無駄になる可能性が高くなるでしょう。

そうならないように、最初から「これだけの間は事業にチャレンジしたい」と思った期間分の開発予算をあらかじめ用意しておくことが大事になるのです。

まとめ

以上が、システム開発においてファーストリリースはゴールではなく、開発予算は事業にチャレンジする期間に対する投資であるという考え方についての解説になります。

社内に開発部署があれば、あらかじめ社内のリソースを抑えられないか確認が大事になります。

社内に開発リソースがない場合は外注を検討することになると思いますが、その場合でもウォータフォール開発による作りきりの開発を得意とする会社ではなく、月額制の受託開発会社のように伴走型で継続的に開発を依頼できる会社を選ぶ方がベターでしょう。

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記事の作成者・監修者
小畑 絃太
-
Genta Obata
取締役 / エンジニア
取締役としてmofmofの経営をしています。お客さんのビジネスを成功させることと、自らも楽しむことの両立をいつも考えています。エンジニアとしてはモバイルアプリが得意領域で、個人的にもSNSアプリを開発、運営しています。
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小畑 絃太
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Genta Obata
取締役 / エンジニア
取締役としてmofmofの経営をしています。お客さんのビジネスを成功させることと、自らも楽しむことの両立をいつも考えています。エンジニアとしてはモバイルアプリが得意領域で、個人的にもSNSアプリを開発、運営しています。