「技術者なら作り出すことを止めるな。」技術で遊びまくるフリーランスエンジニア、コンユウ。

こんにちは。エンジニアと弊社代表原田の対談企画をお届けいたします。 今回はお話して下さったのは、面白いものづくりを続けるフリーランスのソフトウェアエンジニアである今 佑介さんです。最近は何を作り、どんな過程でそのアイデアが生まれてくるのか、技術やものづくりについて原田と共に赤裸々に語って下さった内容をそのままにお伝えしていきます。

ではまず、原田と知り合ったきっかけを教えてください。

: 以前のオフィスのオープニングパーティですね。実際に出会ったのは。ただ、以前からFacebookで「友達かも」に原田さんちょいちょい出てきてたので知ってはいたんですよね(笑)だからいつかどっかで会うんだろうなってお互い思っていて、そのパーティーでようやく会いました。

原田: そうですね。ようやく会いましたねー(笑) 今さんで印象深いのは「 PHP を触ると死ぬRailsエンジニア募集」っていう募集を出していたことですね。

: その頃はBest Teacherっていうオンライン英会話サービスのCTOをしていた時ですね。Wantedlyでなかなか募集がかからなくて、ソーシャルでバズれば応募が増えるかなと思っていたんです。それで 自分がPHP を書くのがすごい嫌いだから、「PHP を書くと死ぬRailsエンジニア募集」って出したんですよね。まぁ…怒られましたけど、バズったおかげで応募が来て、タイトルでバズらせると集まるっていうのは分かりましたね。

そんな繋がり方だったんですね。今さんはこれまでにも面白いものを作られていますが最近は何か作られましたか?

Get Wild and Intro

直近作ったのは Maker Faireに出した、『GET WILD SONG MAFIA』のが最新ですね。あのCD1回だけしか聞かなかったので、成仏させてやれないかなと思ったんですよね。それで、何曲もあるからイントロクイズを作って出せればいいかなと思ったんです、最初に。 そう思ってからその後に、技術を何使おうかなと思いました。ちょうどその頃仕事で Python を使っていたので Python縛りで作りました。Raspberry PiでPython。

原田: イントロクイズですか。ボタンはあるんですか?

: 本当はリアルボタンにしたかったけど、作っている時間がなかったのでRaspberry Piのタッチパネルにしました。サビ出しの部分がねー、大変でしたねー。サビが出てくるのがどこなのか、36曲全部夜中に探しました(笑)

でこれを作って出展していたらアルバム製作の関係者のすごい方と知り合いました。Maker Faireを見に来た人の中にその人と繋がりがある人がいて、飲みに行きましたよ。さすがに小室哲哉には会えなかったけど。

原田: 小室哲哉に会ってどうするんですか?

: ただ会ってファンですって言いたい。何回かliveにも行きましたし、すごいファンなんですよ。

対談の様子

アイデアを出す時って何かこう、、、狙ってたりするんですか?

今さん: まず、技術ベースの場合とアイディアベースの場合の二パターンがあって、さっきの Get Wild のやつの場合は アイデアベース。「こうゆうのやりたい!」って言うので技術を選定する。まあアイディアのアプローチ的には真っ当。作ってるものはガラクタだけど(笑)

もう一個の技術ベースの例は Kinect を使ってリアルタイムに股間にモザイクをかけるやつですね。Kinect をいじっていた時にコレを使えば股間を隠せるんじゃないかと閃いてしまったんですよね。

原田: なんでそれが股間を隠す発想になるんですか(笑)

: Get Wild の方がむしろ珍しいパターン。大体は技術を見て、これだったらこういうの出来るなって思いつく。“Chrome Extension for EROS“ がそうですね。これは、ブラウザで「おっぱい」っていう文字が入ってたらパーティクルが出るんです。単語がいっぱいあると負荷がかかりすぎてファンが回っちゃうってやつ。

Chrome Extension for EROS

原田: これ、たまに何もないのにパーティクルが出てくるんですよ。

: えー、ちょっとpull reqあげてくださいよ。

原田: いやいや、直さないですよー(笑)

: ”文字を強調する”っていうので、パーティクルを出せれば面白いなっていう考えがあって、とりあえずしょうもないものを作ろうと思うと中学生みたいな下ネタになるんですね。いまだに少年ジャンプを購読してるからしょうが無いです。

原田: アイデア思いつく瞬間とかってどんな時なんですか?技術を触っているタイミングなのか、あるいは街中を歩いてる時に突然思いつくのか、ひねり出してるのかどういう感じなんですか?

: そうですねー。 たぶんインプットを沢山しているっていうのがあると思います。Macとかガジェット系のとか、これとこれを組み合わせたらこんなのできるかな?っていうのが、街にいる時よりは家にいる時にこれがあったら便利だなとか。

あと何だろう、、 Amazon Dash Buttonが出た時にすぐ買ってできることを探した時に、ちょうど家で「トイレの音がうるさい」って。で、Get Wild の”乙姫”を作った。トイレにAmazon Dash Buttonはあるけど音が流れるのはリビング。 そういうのを大体作ってて、家にガラクタがいっぱいある。

あの頃からGet Wildを使って遊んでますね。あの頃は何でもかんでもGet Wild使うのがQiitaで流行っていて。お前らそんなにファンでもないくせによ!

原田: 僕もGet Wild診断やりました(笑)みんな Get Wild 好きですよね。 スマートスピーカーはどうですか?

対談の様子

: もう少しすると Alexa が出るので買おうと思ってます。でもまあ今、Raspberry Piと IRKit と homebridge で Siri を使えるようにすれば、多分やりたいようなことは全部できるんですね。後は、Advent calendarでおうちハック同好会とクソアプリアドベントカレンダーによく参加していて、一年で俺が一番活躍する時ですね!

作りつづけるのって大変だと思うのですがどうやって時間を確保、捻出しているんですか?

: 今は、世の中の SE とかスタートアップのエンジニアみたいに働いていなくて、平日は19時には帰っているし、 ほぼ家で働いていることが多いから、その夜とか土日のどっかでやったりとか。でも時間がない頃にも作ってましたね。その時は、ちょっとずつやってたんだと思うんですよね。

原田: 時間があっても、やりたいって言ってても、やらない、やれない人多いじゃないですか。そこの人と今さんとの違いは何なんですかね?

: 何ですかね。多分、完璧を求めないことじゃないですかね。俺いつも仕事では、テストを沢山書けとか読みやすいコードを書けとか、レビューで言ってるけど、自分がそういうくだらないもの作ってる時はすごい汚く書いてます。ブラッシュアップするほど興味続かないから、汚いまま置いてるし。

原田: 僕も結構作るんですよクソアプリ。そんな感じですね。「クソコードを許す!」みたいな。

: それは多分、スタートアップの初期の頃と一緒ですね。スクラップアンドビルドもするし、動くもの早く作るって言う。動くっていうほうが重要。重要って言うか長期だと興味が続かないんですよね(笑)スタートアップだとユーザーが離れないように、速く作るとか、機能たくさん作るとか、ブラッシュアップしてくとかあるけど。自分が作る時はどっちかって言うと、自分の興味が失われる前に作り終わらないといけない。

対談の様子

原田: お金になるならまた別ですけどね。

: 基本的にはなににもならないからね(笑)「しょうもなっ!」って言われて終わる。興味が続く間に作りきる。だから期限が決まっているといいですよね。Advent calendar とか。

原田: あー確かに。いつまでか決まっていると作り切れますよね。

よく中国の深センに行かれているそうですね。目的は勉強ですか?

: ほぼ遊びですけど、情報収集もあります。チームラボの高須さんが「ニコ技シンセン深圳観察会」 というのを年に1回程度やられていて、ハードウェアスタートアップとかシードアクセラレーターとか。現地の工場を見学させてくれるツアーをやっていてそのツアーに参加したらだいぶ面白かった。スピード感が。すごく速くて、決まるのとか。エコシステムはどう進んでるのかみたいな話をしていてかなり面白かったです。

シリコンバレーの1ヶ月が深センの1週間だって言われてて、シリコンバレーは速いと言われているけど、それよりも全然速い。クオリティがすごく良くなる前に市場に投入してるっていうのが中国の面白いところかなと思って。日本だとなかなかそうはいかない。

後はわりと、仕事の自由が利くようになっているので、自分への投資っていう面もありますね。深センつながりで、ポールというシリコンバレーにいるスロバキア人と知り合って、クラウドファンディングにガジェットを出品できました。このガジェットのソフトウェアを自分を含む日本のソフトウェアエンジニアで作っています。

今一番興味を持ってることはなんですか?

: 技術だと、、単純に開発のことを言うと iOS の開発をちょっとだけしていて。俺が iOS を書いていて iOS のエンジニアの人が Railsを書いていて、技術のエクスチェンジしています。お互いレビューできるからいいだろうっていうひどく効率の悪いプロジェクトが今月からスタートしています。ちょこちょこ iOS 書いていて Objective-C を少し書いてたことがあるんですけど、Swiftで仕事をしたことはなかったので良いタイミングかなと。

対談の様子

原田: いいですね 。長期的にみて凄くいいと思います。

: というのが、中期的な技術のところで、直近だとIoT 関係でデータのビジュアライゼーションのところを作っていて、AWS 縛りで作って API Gatewayで受けて、Kinesis Firehose っていうデータを吸引するようなものをやっていて、そこからElasticsearchにデータを格納して、それをKibanaで表示するっていうのをコーディングしないで作っています。

原田: センサーデータとかですか?何か見えてくるものあるんですか?可視化して。

: まだリリース前なので具体的なことは言えないのですが、可視化することによって「こうだと思う」が正しいのか、実はただの思いこみなのかを仮説、検証できるというのが肝ではないでしょうか。

後は何だろうな、、くだらないガジェット系だとkinect が最近もう発売されなくなって、似たようなのでRealSense™ っていうインテル®が出してるのがあって、それもどうやら Linux とか Mac で触れるライブラリがあるようなのでそれをちょっと使いたいな。

原田: あの路線は一旦ブームが去った感じなんですかね? NUI 的な。

: 単純にゲームで売れなかったんだと思います。Kinect は Xbox にもともと付けるって言ってて。面白かったんですけどね。実際は展示とか博物館とかメディアアートだとよく使われているんですけれど。そんな台数じゃ全然ペイしないから。

原田: そっか一。一時期 Kinect めっちゃやりたくて、今後来るって思ってたからいろいろ調べてた時あったんですけど、結局やる時間が取れなくて諦めちゃいましたね。

ずっと聞きたかったんですけど、公式ウェブサイトの壁紙がうんこなのはなんで?

コンユウのホームページ

: あれもね、本当はちゃんと直したいんですよ。ちゃんと。仕事の話がくるように。「お問い合わせはこちらに」ってメッセージとか Twitter のアカウントとか貼ってあるんですけど、来たことないんですよ。全然。だからちゃんと作ろうかなって思ってて。登壇履歴とか凄い沢山書いてあるのに。けど仕事は来ないんですよ。

(【PR】@kon_yu までお仕事のご依頼お待ちしております。)

原田: あのサイトだとなかなかムズイですよ。分かる人にしか分からない良さじゃないですか。ジオシティーズとか言っても分かんないし。

: ボタンが点滅するのって2000年ぐらいに流行ってたんですけど、もともとタグで書くものだったんですが、自分のサイトでは全部 css のアニメーションで書いてます。今の技術で2000年ぐらいのホームページを再現しているんです。ちゃんとモバイル対応してたりとか、レスポンシブになってたりとか。今度は音鳴らそうかなと思ってみてます。

若手の人に思うことやアドバイスはありますか?

: そうですね。少なくとも、「何ができるのか」って人に分かるようにしたり、作品を出したりした方がいいかな。 特に面接突破できないんだったら、自分が「できます」っていうのをどうやって証明するんだっていう。Qiitaとか他の記事がたくさんストックされてるのでもいいし、GitHubにコードを上げてるとか。自分が作ったもの、動くものがあるとか、スマホのアプリがあるとか。

面接する側の話をすると、ちょっと1〜2時間話ししても、気が合うかどうかしか分かんなくて、技術的に担保されてるかどうかなんて分からない。だから、思いついたら何か作っておくとか、数打たないといいの作れないし。

対談の様子

原田; そうですね。あんまり作ってこないですよね。若手ならまだ分からないでもないんですよ。その時に扱える技術がまだないとか。でもベテランの人で “転職しましょう” って時に、実績として公開できるものが何もないとか多いじゃないですか。なんかもうちょっと作ったりしたらいいのになって思うんですけどね。何もないと判断できないんですよね。

: ブログの記事でもいいんですけどね。ベテランで元々 SE を長くやってた人って仕事でやったものを公に出せないものが多い。何かで「技術もあるよ」ということを証明してくれると良いんですけどね。できれば自分一人で作ったものがあると分かりやすいです。

俺が知り合う若者ってだいたい web 系や大手に勤めている人でも、知り合うのはものづくり系な人たちなので社内も自由闊達な人が多いのかなぁと思いきや、話を聞くとそういう人は少なくて、仕事以外でものづくりをする人はあまりいないそうです。メーカーでもSEでもWebエンジニアでも、技術者はもっと技術を無駄遣いして完成度の低いしょうもないものをたくさん作って欲しいと思います。

ー お話ありがとうございました。

面白い物をつくりを続けている今さんの頭の中を覗ける 愉快な時間となりました。今さんのセンスで作られる今後の作品、 今年の Advent calendar にも期待しています。