技術力・開発体制だけで開発会社を選んではいけない!? 新規事業を成功に導いてくれる開発会社を見分けるポイント3選

こんにちは。今回は新規事業担当兼エンジニアである私、mofmofの岩井が「自分だったらこんな観点で開発会社を選ぶなぁ」というアレコレを書いてみようと思います。
弊社がただ作るだけでなく、ビジネス的な価値を出せる開発会社を追い求めて構築した受託体制を元に、どうすれば新規事業開発にマッチする開発会社を探せるのかというポイントをお伝えいたします。

なお、全文通して特定の企業を想定して書いている訳ではないという点をご留意ください。

目次

  1. 開発会社を選ぶ上で考慮すべき観点とは
  2. ビジネスを成功に導くためには?
  3. 見分けるポイント3選
    1. タフな質問に答える
    2. エンドユーザー目線で開発をする
    3. 自社事業を行う
  4. まとめ

開発会社を選ぶ上で考慮すべき観点とは

どんな点をチェックすれば良いの?という疑問に簡潔に答えます。前提として、選定シーンは「新規事業の開発業務を外注する」という形にします。また、開発の依頼者は「クライアント」、開発を行う側を「開発チーム」と表記することとします。

  1. 開発体制は?
  2. 開発担当者とやりとりできる?

まずはこの2点を押さえましょう。これに加えて、よりビジネスに寄り添った開発ができる会社を見分けるポイント3選を後述します。

開発体制は?

システム開発にはざっくり分けると二種類の開発体制があります。

  • ウォーターフォール型
  • アジャイル型

それぞれ得意不得意があるのですが、新規事業であれば間違いなくアジャイル型一択です。

なぜか? この三点から説明することができます。

  • システム開発/特に新規開発では先を見通すことが難しい
  • ウォーターフォール型ではプロジェクト開始時点で成果物を確定させなければいけない
  • アジャイル型では開発中の方向転換を歓迎する

上2点だけでも消去法でアジャイル型しか選択肢がないことがわかると思います。詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

ですので、少なくとも開発体制としてアジャイルを採用している開発会社を選びましょう。

ひとつ留意点なのですが、「成果物の定義」が難しいために、納品の約束をしない準委任契約となることが多いです。プロジェクト中に成果物像が確定した場合請負契約に切り替えるというフローも存在しますが、あまりおすすめできません。

というのも、成果物を確定した時点で身動きが取れなくなってしまうからです。その後開発する中でより良いプロダクトのあり方が判明したとしても対応することができなくなってしまいます。そもそもビジネスに正解はないので、いついかなる時も柔軟に対応できるような体制を維持すべきでしょう。

開発投資をする以上は「いつまでに何を作る」という約束がないとなかなか判断が難しいかもしれませんが、それはソフトウェアの性質と噛み合わない部分になってしまいます。また、柔軟な対応力を強みとしているアジャイル型の体制が強みを活かせなくなります。

期限付きの納品をゴールにしたいのであれば、相対的に費用は大きくなりますがウォーターフォール型開発を行い、一括請負契約ができる開発会社がマッチします。

開発担当者と直接やりとりできる?

重要な点です。

これは会社によって異なるのですが、クライアントと開発チームの間に営業が入るとか、実際手を動かす人とクライアントとやりとりをする人が違っていたりすると、直接やりとりができる時と比較してロスが出やすいです。伝言ゲームになるため当然ですね。

しかも扱う対象が無形のものなので、認識のすり合わせや、問題の共有・改善提案等をその当事者たちが行えるに越したことはありません。ここは開発者の責務の範疇を超える部分ではあるので、会社ごとに対応の仕方が違うと思います。一方で、この範囲を担える技術者であれば十分にビジネスを形にしてくれることでしょう。

営業の段階から開発者が出てくるようであれば、(単に人不足の可能性もありますが)契約前後フェーズでの失敗の危険性は比較的低いでしょう。一方で、もしシステムのわからない営業担当と話すことになった場合はいくつか懸念点があります。

この場合起こりうる事態としては、

  • 営業時点で約束したことが実は技術的に難しい/実現に時間がかかってしまうものだった
  • かかる工数と納期イメージが大幅にずれてしまう
  • 開発チームの性格と案件の性質の相性が悪かった

といったものが考えられます。結果として、クライアント目線では「契約前に言っていたことが全く実現しない」であったり、開発チーム目線でも「聞いていたよりもずっと大変すぎる、現実的な内容じゃなかった」という不幸な事態につながりかねません。

もしこの段階から開発者と直接やりとりできるようであれば、認識はほぼ一致したまま話を進めることができたり、開発業務上でも現実的な話をすることができます。プロジェクト開始後も、お互いに事前の想定と大幅にずれるということが起きづらくなります。

グラフを手でフォーカスしているサラリーマン

以上を踏まえて大まかに開発会社を絞ったら、「新規事業を成功させるための開発会社選び」をしましょう。

ビジネスを成功に導くためには?

開発するだけではなく、ビジネス的な視点を持って開発ができる会社が望ましいです。
開発会社は大まかに分けて二種類に分けられると思います。

  • 顧客が考えたシステムを忠実に実現してくれる開発会社
  • 顧客が実現したいビジネスに最適なシステムを一緒に考え、開発してくれる開発会社

当然のことながら後者の方がビジネスの成功確度は高まりますよね。

前提として、開発会社は作った後のビジネスまでは責任を負えません。ここはクライアントの力量に委ねられます。

前者はプロジェクト進行中はお互いに良い気持ちで業務を進めることができます。「ここはこうですか?」「いいえ、こうです」といったコミュニケーションで完結し、開発チームはクライアントの思い通りのものを具現化しようと努力してくれるでしょう。
そして、その後成功するかどうかには顧客のビジネス構想の精度と、システム的なセンスが大きく影響します。例えば、ビジネスに精通していてもシステムのことはよくわからないという場合は致命傷となります。

後者はプロジェクト内ですれ違うこともあるでしょう。優先すべきタスクは何か、開発すべきものは何か、エンドユーザーに届けるべきものは何かを全員が考えることになるので、合わない考えがあるのは当然です。そんな中で、実現したいビジネスに対して顧客の考えたシステムがずれているのであれば、違うものを作る判断に至ることもあります。

開発会社の業務としては若干範疇外な部分もあるのですが、これが実行できる会社に依頼した方が圧倒的にビジネスの成功に繋がります。

もう一歩踏み込んでみましょう。

どんな会社もそういった点は理解しています。「ビジネスのために開発する」「顧客が本当に欲しいものを開発する」も謳っています。ですので、実態や実力を比較し開発会社を選ぶのは難しく感じるでしょう。

では、どうやって見分ければ良いのでしょうか。開発会社のサイトの内容からでも簡単に判断できる項目3選を用意しました。

新規事業を成功に導いてくれる開発会社を見分けるポイント3選

  1. タフな質問に答える
  2. エンドユーザー目線で開発をする
  3. 自社事業を行う

この3点です。見ていきましょう。

1. タフな質問に答える

具体的には、アジャイル開発でプロジェクト開始前に取り組むのが良いとされる、「インセプションデッキ」というフレームワークを利用します。

インセプションデッキとは、「プロジェクトにまつわるWhy/How」をプロジェクトのメンバー全員が議論・合意するためのものです。例えば「このプロジェクトは何を目的としたものなのか?」や、「プロダクトのコアな価値は?競合との差別化は?」「もしも開発が遅延した時はリリース予定日を延期してでも機能を充実させたい?」のように、難しい質問の数々に答えなければなりません。

これをメンバー一人一人が考え・理解し・腹落ちした状態で開発に望むことで、全員が同じ方向に向かって進むことができるようになります。

インセプションデッキの詳細についてはこちらの記事で紹介していますので、興味があればご覧ください。

プロジェクトの開始前にインセプションデッキに取り組む開発会社はビジネスへの関心が高く、ビジネス的な視点を持ちつつ開発に望んでくれることでしょう。

2. エンドユーザー目線で開発する

「自分たちが想定するユーザーが、楽しめるよう/使いやすいよう/喜ぶよう想像力を働かせて開発しよう」という意味ではありません。

とても大事なのでもう一度言います。「自分たちが想定するユーザーが、楽しめるよう/使いやすいよう/喜ぶよう想像力を働かせて開発しよう」という意味ではありません。

プロダクトの正解は開発チームの誰も知りませんし、プロダクトの発案者すらわかりません。実際に利用する本人たちしか知りません。だから真のエンドユーザー目線というのは、いち早くユーザーに触ってもらい、フィードバックを元に適切な開発を行うことだと考えています。
「こうしたらユーザーは使いやすいのではないか?」「こんなデザインの方が好きになってもらえそう」という想像は、あくまでも想像の域を出ません。答え合わせはユーザーに触ってもらうことによってのみ可能です。

以上を踏まえると、エンドユーザー目線で開発ができる会社とは、「頻繁にリリースをしつつ、即座にフィードバックを反映できる体制を持った会社」であるといえます。これはウォーターフォール型の開発では不可能ですが、アジャイル開発をしている会社でならある程度可能です。

この観点を調査する際には、「開発開始から短期間でUAT(ユーザー受け入れテスト)に取り組むことができた」という実績や、「フィードバックを元によりよいプロダクト作りを行った」というようなアピールの有無がポイントとなるでしょう。

哲学的、かつ余談になりますが、アジャイルの本質は繰り返しのワークフローそのものではなく、「常に改善している状態」です。アジャイルをアピールしている会社がワークフローを強調しているのか、改善の体制を強みにしているのか、どちらに比重がありそうかという点を調べてみても良いかもしれません。

もう一つの視点として、一通りサービスとしての体をなした「MVP(Minimum Viable Product)」を短期間で開発することを標榜している開発会社も「想像より実測」の価値を理解しているため、そうでない会社よりビジネスに寄り添った開発ができるでしょう。

自社事業を行う

受託開発のみではなく、自社で開発・運営している事業がある会社が理想的です。理由は以下の2点です。

  1. 事業の立ち上げから運営までのフローを理解しているため、そのフェーズで適切な開発方法のノウハウがある
  2. 立ち上げからグロースまで対応できるような、一定以上の技術力があることが証明できる

前者には加えて、事業運営者の目線を持っているため運営者・開発者双方の気持ちがわかるという利点があります。顧客と開発チームの橋渡しとして心強い存在ですね。

また(あくまでも個人的な感覚ですが)、自社事業を行っている企業はエンジニアにとって相対的に魅力的に見えるため、そうでない会社と比較して技術力の高いエンジニアが在籍している傾向にあります。

まとめ

以上が開発会社を選ぶ際に考慮すべきポイントでした。

弊社含め、企業サイトには聞こえの良い文言しか並んでおらず、デザインもそれなりに綺麗〜とても綺麗に見えるように作ってあったりします。そんな中でもこの記事で紹介したようなポイントを抑えておけば、一緒にビジネスを作っていける企業なのか、判断する手がかりを掴めると思います。

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記事の作成者・監修者
Railsエンジニアです。ものづくりの人として成長するためにSIerからmofmofにやってきました。プロダクトに関わる全ての人を喜ばせたい。卓球室のある家を建てるのが夢。
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