完成品ではなくMVPを作る

MVPとは

MVP PC

MVPとはMinimum Viable Productの略です。書籍「リーン・スタートアップ」では「実用最小限の製品」と訳され、価値を実現する最も小さい製品のことを指します。

従来の新規事業で製品開発のプロセスは以下のような流れが一般的です。

  1. 企画書・プロトタイプをつくる
  2. 社内でフィードバックを得て改善する
  3. OK/NGの投資判断をする
  4. 正式に製品開発し、市場に売り出す

対してリーンスタートアップでは、以下のようなサイクルを高速に繰り返すことが特徴です。

  1. 限りなく小さく、単純な機能しかない製品(MVP)を開発する
  2. 想定している顧客に使ってもらいフィードバックを得る
  3. 解決したい課題(CPF)・製品の形(PSM)・市場でのニーズ(PMF)の全てが正しいことを検証する
  4. 本格的に製品開発し、市場に売り出す

リーンスタートアップでは、「学習すること」に重点が置かれています。検証により正しく情報が得られるのであれば、そもそも製品を作らないMVPすら存在します。

非常に有名な事例を2つ紹介します。

Dropboxでは、製品を作るより前に、サービスがどのように動くかを紹介したデモ動画とLPを公開しました。その結果、一晩で約75,000人がサービスに登録したことから、仮説には十分ニーズがあることが分かりました。

また、グルーポンでは、新たにプロダクトを開発することをせず、WordPressで作られた単なるブログをMVPとしました。ブログで商品を販売し、クーポンを手作業でPDFで配布することで「クーポンの共同購入」が成り立つことを検証しました。

なぜMVPを作るのか?

新規事業を考える

参入障壁が低い分、WEBサービスやモバイルアプリの市場では、既に新しい製品で溢れかえっています。ちょっとした思いつきで新規事業を企画し、製品を市場に投下したとしても、うまくいくことはほとんどありません。

そんな競争の激しい市場で、資金も人材も不足している小さいスタートアップ企業がどのように戦うべきか。その一つの答えがリーンスタートアップやMVPという考え方です。

リーンスタートアップでは、最も高速・低コストでMVPと呼ばれる最小限の製品を開発します。それを使って、新製品が本当にニーズがあり、売れる製品なのかを確かめることが出来ます。

従来の開発会社の作り方は、完成品を作ることをゴールに設定し、最初に決めた通りに全て作り込むことを重視してしまっています。しかし本来なら、その製品が、顧客にとって本当に必要か、誰がなぜどのように使うか、という点を早期に確かめることを重視すべきです。

完成をゴールにおいた開発手法では、MVPを作って繰り返し検証・改善を重ねていくようなプロセスに適合していません。従来の開発手法に囚われず、MVPのように製品の本質を見極めて、本当に価値のあるものを実現することがなにより重要です。

mofmof inc.でのMVP開発

MVPの検証サイクル

mofmof inc.では従来のように、完成品をゴールとして要件定義・基本設計・詳細設計・製造・検証のようなフェーズ分けをする計画作りをしません。

なぜなら、新規事業においては顧客にとって本当に価値のある機能を、最初に全て設計することは不可能だからです。最初に考えつくような機能は全て仮説でしかありません。仮説でしかない機能を全て完成させようと努力することは、貴重な時間とお金を大きくロスする結果につながってしまいます。

プロジェクトが発足したら、まずMVPの実現を最初のゴールとして設定します。どんなに壮大な事業計画であっても、原則、開発着手から3ヶ月以内にサービスインする計画を立てます。そして、実際の顧客(ユーザー)の反応を観察し、次に何を開発すべきか見極めて、少しずつ開発を繰り返すというやり方をとります。

ソフトウェアが多機能であるからと言って、価値のあるソフトウェアとは言えません。強い課題を抱えている顧客が存在し、それを解決出来る機能を有していることが、本当の価値のあるソフトウェアです。mofmof inc.の月額制開発チームレンタルでは、それを探求するために検証・開発を繰り返す作り方を実現しています。