KPT法とは?どんなプロジェクトでも質の良い振り返りが出来るKPTのやり方を解説します
2020.10.28弊社ではプロジェクト(開発でもそれ以外でも)の評価を定期的に行っています。「KPT」という手法を用いた振り返りにより、定量的にその期間の良し悪しや「次にどうすればいいのか?」を評価することができます。
この「KPT」は誰でもすぐに、かつどんな場面でも使える非常に優秀な振り返り手法になっています。(開発プロジェクト、営業、年度末評価など…)
今回はそんなKPTによる振り返りについて、紹介と解説をしていきます!
そもそも振り返りとは?
チームの過去を思い出して、良かった点や問題のある点を見つけ、改善につなげる活動のことです。KPTという手法を用いることで、効率的かつ質の高い振り返りをすることが可能になります。(KPTについては後述します)
なぜ振り返りが必要なのか
多くのプロジェクトでは、「課題が可視化されない」という問題があります。例え進捗に遅れが出ていたとしても、致命的なミスでも起こさない限り、そのまま何となくで進んでいってしまいます。皆さんも経験があるかと思いますが、小さな課題は可視化されにくいのです。
しかし、小さな問題の積み重ねがいずれ取り返しのつかない事態を招きます。逆に言えば、振り返りを行うことによって、課題を正しく認識し、適切なタイミングで対処することが可能になるのです。
振り返りは何を解決するか
KPTによる振り返りを行うことで、以下を実現することができます。
- 常に同一の基準で振り返ることができるようになり、振り返りの質が向上する
- 現状何が問題でどう改善すべきなのかが明確になり、よりプロジェクトにコミットしやすくなる
- 感情にとらわれず、定量的に物事を判断できるようになる
振り返りの手法、KPT法
では、先ほどからあげている「KPT」について解説していきます。
「KPT」はよく使われる振り返り手法の1つで、実際に弊社でも採用しています。
KPTは、
- K:Keep(良かったこと)
- P:Problem(悪かったこと、問題)
- T:Try(次に挑戦すること)
の頭文字になっています。
項目の詳細は以下の通りです。
Keep
- 良かったこと・継続すべきことを出す
- メンバーに助けられたエピソードなどを積極的に話すといい
- どうしても何も思いつかなかったら、関係ないことやプライベートなことでも良いので必ず1つは出すこと
例)最近彼女ができました
Problem
- 問題や良くなかったことを出す
- 現象や結果など、事実のみに言及する
- 感情的な言葉や、個人を攻撃する言葉は使わない
→個人間の争いになると建設的な話し合いができなくなる上に、チームの雰囲気も悪くなってしまう。個人攻撃はNGと肝に銘じること
Try
- Problemに対する解決策を出す
- 実行可能で具体的な言葉で表す
具体的でない言葉の例)
- 「注意します」
- 「気をつけます」
- 「頑張ります」
- 「気合でなんとかします」
- 「注意します」
振り返りの手順
- 時間を決めて、個人でKeep, Problemを付箋に書き出す(5分程度がおすすめ)
- ホワイトボードに付箋を貼りながら各自発表する
- Tryは全員で議論しながら導き出す
- Tryを実行する人を決めて付箋を持ち帰る
→ 何のTryか忘れないようにProblemと重ねると良い
ホワイトボードを3分割し、左側にKeepとProblem、右側にTryを配置します。
基本的にはメンバーが集まり、ホワイトボードと付箋を使って振り返ります。弊社ではこのように行っています。
オンラインでも、ホワイトボードツールを使えば実施が可能です。
無料で使えるおすすめツール
振り返りのグランドルール
- 積極的に参加すること
- 当事者意識を持つ
- 議題に集中すること
- 当事者意識を持つ
- 一人で話しすぎないこと
- 人の発言をさえぎらない
- 話してない人にも思いあり
- 人の発言をさえぎらない
- 原因の追究はしても、責任の追及はしないこと
- 罪を憎んで、人を憎まず
- 「問題 対 私たち」原則
- 自己弁護は不要
- 罪を憎んで、人を憎まず
その他ルール・注意点等
- 物理的に「問題 対 私たち」の構図を作る
- ホワイトボードや壁(問題)に向かってメンバーが同じ方向で話し合う
- ホワイトボードや壁(問題)に向かってメンバーが同じ方向で話し合う
- ファシリテーターを決める
- 参加者にルールを守ってもらうためには丁寧なファシリテーションが必要
- 開始前には必ずルールを伝達し、定着するよう徹底する
- 個人批判や責任追及の雰囲気が発生したら、必ずファシリテーターは間髪入れずにフォローに入ること
- 参加者にルールを守ってもらうためには丁寧なファシリテーションが必要
- 適切な人数で実施する
- 3~10人が適正
- 10人以上になる場合はチームを分割する
- 3~10人が適正
- 次に繋がる建設的な会にする
- 振り返りは反省会ではない
- 課題を解決し、プロジェクトをよくするために時間を使う
- 振り返りは反省会ではない
振り返りを行う頻度
プロジェクトによって左右しますが、何ヶ月も継続して行うプロジェクトの場合は1ヶ月に1度くらいの頻度で振り返ることをおすすめします。ただプロジェクト発足時は不安定なので、1〜2週間に1度くらいの短いサイクルで振り返ると良いです。
当然チームによって出てくる課題量や求められる成果が異なるので、最適な頻度はチームで話し合って決めましょう。
まとめ・武井所感
KPTによる振り返り方法をご紹介しました。
私自身、mofmofに入るまではこういった型のある振り返りをやったことがなく、振り返りという行為の必要性がいまいちわかっていなかったのですが(よくある「やる必要ある?」みたいな内容のない会議ばっかりだったので…)、KPTでの振り返りは非常に有効だなと感じました。
時間を区切ってその場で良い点・悪い点を書き出すので集中できますし、「個人」ではなく「チーム」の振り返りなので、自分は思いつかなかったけど「確かに!」というKeepやProblemが必ず出てきます。複数人で1つのプロジェクトについて考えるので、様々な視点の意見がでて面白いです。
Tryについても、Problemを元に話し合うので必ず現状の課題の解決に繋がりますし、何かしらの実行可能なTryが生まれます。従来の振り返りだと結局「で、どうする?」とグダグタになって終わる、なんてパターンが多かったので、必ず有効な解決案が出るKPTはとても優秀だなぁと思います。
また、誰でも簡単にできるというところがすごく良いです。特別な知識は一切いらないので、どのチームにもすぐに取り入れることができます。
そんな感じでとてもおすすめな振り返り手法なので、課題が出てこない、うまく振り返れないといった悩みを抱えている方は、ぜひ取り入れてみてください!
また、mofmof inc.では新入メンバー向けの研修題材として、振り返りについてワークショップ形式で教えています。その際に使用しているスライドを公開しているので、良かったら参考にしてみてください。