国立大学法人 電気通信大学、株式会社ChiCaRo(共同研究) 阿部 香澄さま・奥 温子さま


ゴール自体が動く研究プロジェクトについていける開発スタイル

2022.01.20

CLIENT PROFILEクライアントプロフィール

事業内容

子供と遊ぶロボットの研究およびChiCaRoの企画・製造・販売

阿部 香澄 様

国立大学法人電気通信大学 人工知能先端研究センター 特任助教

博士(工学)。2015年より日本学術振興会特別研究員PD、同RPDを経て、2020年電気通信大学人工知能先端研究センター特任助教。研究成果の遠隔育児支援ロボットを、育児に奮闘する家庭に届けたいとの強い思いから2017年電気通信大学認定ベンチャー(株)ChiCaRoの設立に関与。同社主席研究員を兼務。専門はChild-robot Interaction。

奥 温子 様

株式会社ChiCaRo 代表取締役社長

2017年広島大学卒。5人兄弟の長女として学生時代に子育てを手伝うことで子育ての負担や悩みを実感し、子育てへの課題意識が芽生える。ITマーケティング業界を経て、2019年「子育てをテクノロジーの力でもっとよくしていきたい」という創設者の想いに共感しChiCaRoへジョイン。2021年、事業拡大を目指し代表取締役社長へ就任。

INTERVIEW インタビュー

今回は、遠隔協同子育てロボット「ChiCaRo」を共同研究・開発している国立大学法人電気通信大学の阿部様、株式会社ChiCaRoの奥様に、月額受託開発「開発チームレンタル」についてインタビューさせていただきました! よろしくお願いいたします!

今回開発したプロダクトについて教えてください。

阿部: 「ChiCaRo」は育児負担の軽減を目的とした遠隔共同子育てを推進するプロジェクトで、今回はそのプロジェクトの中でも、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構)の委託事業における、発達支援を目的としたシステムの開発です。一般の方向けにもサービス展開をしていますが、今回の開発はいわゆる一般的なサービスではなく、研究開発になります。

奥: 具体的には、「ChiCaRo」というロボットを作っています。阿部さんが「ChiCaRo」の発明者で、ワンオペ育児で忙しいパパママを助けるために生まれました。離れて暮らす祖父母や保育士さんを巻き込んで、「ChiCaRo」を通じてみんなでその場にいるような子育てを実現することができます。

さらに、AIなどのより高度な技術を使って、保育現場の「保育」「発達」といった専門的な分野で子供が育っていくためのお手伝いをする研究開発をしていて、そのツールの開発を今回mofmofさんにお願いしています。

どのような想いから「ChiCaRo」が誕生したのですか?

阿部: もともと私が所属している電気通信大学の長井研究室では、「ロボットで人を知る」という研究を行っています。その中で、子供とロボットのインタラクションの研究が私の担当でした。

私自身、子供を出産して子育てを経験したことで、その大変さを実感しました。ちょうどそのタイミングで長井教授が「子供と遊ぶロボットを商品化できないかな?」と言った時に、自分の育児の大変さとリンクして「ロボットをおじいちゃんおばあちゃんが操作して、子供見ていてくれたらすごく助かります!」という話になったのがきっかけで、このプロジェクトが発足しました。

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mofmofを選んだきっかけや決め手はなんでしょうか?

奥: もともと「ChiCaRo」自体はあって、他のベンダーさんにお願いしていたのですが、大きいプロジェクトがはじまるタイミングだったので、より強力なチームに依頼したいなと考えていました。

そこで知り合いのエンジニアさんに良い発注先がいないか聞き回っていたら、mofmofさんの評判がすごく良くて。「mofmofさんなら間違いないよね」と言われたので、「それならお願いしてみようかな」と思って連絡をとり始めたのがきっかけです。

光栄です!では特に条件などでは探されなかったのでしょうか?

奥: いえ。条件でいうと、プロダクトに理解や興味をもってくれる開発者さんがいいと思っていました。
子供の領域とロボットの領域という一見相反する業界なので、その両方に理解がないとプロダクトの開発が進まないことに気がついたためです。

エンジニアさんはものづくりが好きな方が多いので、ロボットへの理解はあっても、「このUIだと子供には通じないよね」といった子供目線の議論ができないというのがこれまでの課題だったので、子供やユーザーにもっと親しみをもってくれるベンダーさんを探していました。

mofmofさんは杉江さん(当プロジェクトメンバー)もそうですが、お子さんがいらっしゃるエンジニアさんがいたりだとか、プロダクトにすごくワクワクしながら参加してくれるエンジニアさんが多い印象がありました。

杉江: 契約前に1度「ChiCaRo」を見学させていただきましたよね。

奥: そうでしたね!mofmofさんから10名くらいのメンバーが「ChiCaRo」を見に来てくださったことがあります。 みなさん興味津々で話聞いてくださり、実際にお子さんたちもきて「ChiCaRo」で遊んでくれて、それをみた大人が「なるほど!これは楽しいですね」と言ってくださったり。 そのあと実際の開発がはじまったのですが、そういうキックオフができたことも嬉しかったですね。

プロジェクトチームを外注する上で重要視したポイントはなんですか?

奥: もともと重要視していたポイントではないですが、結果としてプロジェクトへのイメージのしやすさが依頼のしやすさに繋がったのかなと思います。

mofmofさんのアジャイル開発スタイルが合っているかどうかは懸念もあったのですが、契約前に何度もミーティングを組んでくれたり、担当予定のエンジニアさんと話す場を設けてくれて、「うちだったらこういうことができます」という提案もいただきました。あとはプレレンタル(開発チームレンタルのお試し版)も実際の開発プロジェクトのイメージがついたのでとてもありがたかったですね。

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実際にmofmofのエンジニアと一緒に仕事をしてみていかがでしたか?

阿部: 私は研究者なので、そもそもサービスやプロダクトを作ることがなく、せいぜいパソコン上で検証用の小さいソフトを作る程度しかやったことがなかったため、大きいプロダクトを作るのが初めてでした。

そのため、プロジェクトの進め方やPO(プロダクトオーナー)という考え方もはじめてだったのですが、そこからサポートして一緒にやっていただけたことが、非常に助かりました。

過去のプロジェクトでは、予想とやや違うものができてしまうことがよくあったのですが、mofmofさんとは細かくコミュニケーションをとれているので、そういった心配なく安心して進められましたね。

プロジェクトを回す中で、チームについてよかったところと、もっとこうして欲しかったところがあれば教えてください。

阿部: 先ほどの回答とも重複してしまうのですが、よかった点はやはり進め方ですね。
タスク管理ツールでタスクに優先順位をつけて並べ替えるのですが、何が優先なのかを考えながら進める部分もサポートしていただけたので、スムーズに進んですごくよかったです。
開発的な知識がなくても問題なく進めることができました。

改善してほしい点は本当になくて、むしろ、定期的にプロジェクトの問題を出すKPTでの振り返り(KPTについては詳しくはこちら)をいれてくださったので、自分が問題だと認識していなかった課題にも気づくことができました。その改善もKPTの中で行われていたので、滞りなく進められていますね。

プロジェクトを進めるなかで印象残っているシーンはありますか?

阿部: やっぱり完成した時ですね。研究者は紙でシステムをつくって実験することもよくあって、紙だと私たち研究者の頭の中では仮説立てされたものがあるから納得感をもってやれるのですが、一般の方に分かってもらおうとすると、やはり実物や実際のプロダクトがあることがすごく重要です。

紙ではなく、しかも普通の人がみてもきちんとしたプロダクトが出来上がって、それを保育士さんやシッターさんに見せて「これはいいね」と言ってもらえたときに、「やっぱり実物があるっていいな。しかもちゃんとしたものが動いているのってすごいな」という感動がありました。

杉江: 私は作ったものを検証するためにロボットを自宅で起動して試すのですが、ブラウザだけで完結するのではなく、触ったりクルクル回ったりと実際に操作ができるので、そういうものを感じながら開発できるのは面白いなと思っています。

また、検証フェーズの実験を自分の子供にも参加してもらって実施したことがあるのですが、子供は結構楽しんでやっていました。電通大の方がロボットの向こう側にいて操作をする場面があったのですが、終わった後に「今日はあのお姉さんいないの?」と言われたり(笑) 子供にとってもいい体験になったのかなと感じました。
「ChiCaRo」が置いてある開発部屋に来て、起動していなくてもいじったりしてるので、気に入っているようで嬉しかったですね。

今後mofmofに期待することはなんですか?

阿部: 今まで通りでも期待以上なのでこれ以上期待することはないです(笑)

開発はシステムやサービスが決まっていてそれに向かって作るものだと思うのですが、これは研究なのでそもそもゴールがないんですよね。

「こういうシステムが欲しい」ではなくて、「研究でこういうデータがほしい」「取れないならシステム自体も変えてしまおう」というように、ゴール自体も動く可能性があるので、そこについていける開発でないといけないんです。 だから、アジャイルでそのサイクルを一緒に回していただけていることはすごくありがたいなと思っています。

開発チームレンタルを検討している方へ一言お願いします。

奥: mofmofさんの特徴は「チーム」だと思います。
「言ったことだけやってくれればいい」という人にはむしろ向かないかなと思っています。

むしろ依頼者側というか、プロダクトに寄り添って、一緒に考えながら作っていきましょうというスタンスで色々と意見をだしてくれたりするので、ドライじゃないというか、そういう開発スタイルを好む方にはぜひ使っていただきたいなと思います。

最後に

阿部様、奥様、お忙しい中インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

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MEMBER INTERVIEW開発者の声

杉江

エンジニア

主にフロント面(PC/electron)の開発を担当しました。

ロボット使った開発部分で、実機でしか発生しない問題の解消やPC/ロボット間の通信処理など大変な部分もありましたが、その部分がやってて楽しいと思う部分でもあります。

また開発方針についてはほぼmofmof側に任せて頂けているので、非常にやりやすく提案もしやすい形で開発を進められています。
開発しているプロダクトは研究開発という位置付けなので色々と変更が発生することが多いですが、チーム全体で柔軟に対応できていることについてはchicaroさんの開発チームへのご理解があってのことだと思います。

今後は別環境との統合作業など、規模の大きい作業が残っていますが引き続きこの良い開発体制で進められればと思います。

永井

エンジニア

chicaroの開発では、主に今回新たに追加予定であった発達支援システムにおける出題システム部分を担当させていただきました。

研究的な側面も持っているプロダクトという性質上、通常とは異なる課題も多くありました。
ただ、「なぜこの実験をやりたいのか」、「どういう課題が存在しているのか」といった情報を着手前から共有していた為、実際に作成した機能とほしかったものにズレもなく、mofmofからの提案も積極的に行うことができました。そういった意味でmofmofの強みを活かす事のできるプロダクトだと感じています。

現在までは割と独立したプロダクトだったのですが、今後は元々存在しているシステムとの連携や追加の機能開発、メンバーの増加等が想定されているので、より柔軟で拡張性の高いシステムとして開発していければと思っています。