こんにちは。出口です。
表題の通り、mofmofが推奨する課題管理ツールをPivotal TrackerからLinearに変更することになりました。
mofmofでは以前までPivotal Trackerを推奨していました。
ですが、先日サービスが終了してしまいました。
数ヶ月かけて移行先を調査・検討した結果、一度はNotionを使うことに決まったのですが、実際に使い始めると色々と問題があり、Linearを使うことになりました。
この記事では、Pivotal Trackerからの移行の紆余曲折、Linearにした理由などを語りたいと思います。
Pivotal Trackerのどこが良かったのか
これまで、Pivotal Trackerを推奨してきたわけですが、改めてどこが良かったのかをまとめておきます。
開発スピードが可視化される
これがPivotal Trackerを使う最大のメリットだと思います。
開発スピード ≒ ベロシティ = 完成したプロダクトバックログアイテムのサイズの合計
これが自動的に計算され画面に表示されます。
また、ベロシティに合わせて、登録されているストーリーが自動的にスプリントに割り当てられるようになっています。
これによって、いつ何ができそうかが分かるようになっているので、ビジネス面での計画も立てやすいです。
意外とこれができるツールが少ないです。
優先度が並び順で分かりやすい
Pivotal Trackerは登録されているユーザーストーリーを上から順番にエンジニアが着手していけばよい作りになっています。
よくある優先度という項目はないので、優先順位がクライアントにもエンジニアにも分かりやすいです。(アップデートでオプションで優先度を追加できるようにはなりました。)
優先度という項目があった場合、よくあるのが全部優先度が「高」だったり、「中」で、結局どれが優先なのか分からないという問題があります。
それがなくなるのも良い点だと思います。
サービス終了してしまったのですが、以上が良かったところです。
候補をどのようにして選んだのか
移行先を選定する際に、気にしていたこともまとめておきます。
Pivotal Trackerの機能性
全てはダメでもPivotal Trackerと同じようなことができるのを前提に調査しました。
ベロシティ計算の計算も似たようなことが出来るものを探しています。
導入のしやすさ
主に費用面と手間です。
Pivotal Trackerを既に利用していたので、移行についても検討事項でした。
Pivotal TrackerのCSVはかなり特殊な形(コメントがある度に列が増えるタイプ)、添付ファイルもあったりと移行の難易度は高そうでした。
将来性
Pivotal Trackerのようにサービスが終了してしまうとまた検討、移行が必要になるため、採用実績や規模について、分かる範囲で確認しました。
選ばれたのは「Notion」「LiteTracker」
以上のことを念頭に置いて、調査した結果、候補になったのが「Notion」と「LiteTracker」でした。
この時点では「Linear」は候補に入っていませんでした。この理由は後述します。
第一候補だったLiteTracker
Notionの他に1つ期待していたサービスがありました。
それが、LiteTrackerです。
Pivotal Trackerのクローンサービスで、見た目はPivotal Trackerと全くと言って良いほど同じで、Pivotal Trackerからの移行が簡単というのも魅力的でした。
しかし、上手くいきませんでした。
最大の売りだったPivotal Trackerからの移行が残念ながらエラーになり、全然進みませんでした。
元のPivotal Trackerのプロジェクトのデータ量が多かったり、添付ファイルを使っていたりするとエラーになるようでした。
また、UIもPivotal Trackerと同じになっていましたが、UXの部分がかなり違いました。
1つ具体的な例を挙げると、ストーリーをクリックしたときにPivotal Trackerはそのままスッと開くのですが、LiteTrackerはローディングを挟んで表示されます。
このあたりの違いがPivotal Trackerと同じUIだからこそ、違和感になり、UXを下げてしまっていると感じました。
いっそのことUIをPivotal Trackerと違うものにしていれば、違和感もなく、そういうものだとして受け入れられたかもしれません。
以上の点で、使っていくのが難しいと感じ、LiteTrackerへの移行は諦めることになりました。
第二候補のNotion
次の候補がNotionです。
Notionには課題管理用のテンプレートが用意されていて、それを使うことでほぼほぼやりたいことができるという感触でした。
一旦はNotionに移行を決め、利用を開始しました。
が、実際に操作してみると、課題の優先順位の設定が難しいです。
手動並び替えの場合、データベースのビューによって並び順が変わってしまうので、バックログのビューとスプリント計画のビューでそれぞれ並び替えが必要になってしまいました。
また、時を同じくしてNotion AI for Workが発表され、GitHub連携がプラスプラン(月額2,000円/人)では利用できなくなることが決まってしまいました。
プラスプランからビジネスプラン(月額3,800円/人)にプランを上げるとGitHub連携が可能ですが、費用がかかります。
GitHub連携なくてもなんとかなる部分もあります(ステータス変更、相互リンクを手動でできなくもない)が微妙なところです。
ここから改めて課題管理をどうするか検討することになりました。
候補から除外されたLinearが復活
LinearはPivotal Trackerからの移行先を検討していた当初、候補から除外していました。
見積もりの設定ができないと勘違いしていたのが原因です。
これは探していたときに見ていた画面が違ったのが原因でした。
アカウント画面にはその設定がなく、チーム画面の方に見積もりを可能にする設定がありました。
結果、Linearが良さそうだという結論になりました。
決め手となったのは、Cycle機能で、Pivotal Trackerと同じようなことが出来ます。
また、NotionやLiteTrackerで感じた操作性の問題もなく、チーム全体がストレスなく使えそうだと判断しました。
まずは新しく入ってくれたメンバーの技術研修で利用しています。
Linearを使っていて唯一気になるところは、UIが英語しか使えないところですが、これはPivotal Trackerでも同じだったので、そのうち慣れるかなと思っています。
Pivotal Trackerからのデータ移行について
執筆時点では既にPivotal Trackerがサービス終了しているので、データを出力していないとデータ移行はできません。 データ出力していた場合は、公式が用意しているインポートツールが使えます。
サービス稼働中だったらスクリプトを使って移行できたようです。
なお、DescriptionにMarkdownを使っていると最初の行のリストが消えたりします。
Pivotal TrackerのCSVエクスポート時の問題なので、事前に修正しておくか、インポート後に調整が必要です。
まとめ
Pivotal Trackerが終了すると発表されてから、色々と調査しましたが、Pivotal Trackerは唯一無二のツールでした。 終了は残念ではありますが、これからはLinearを使って、アジャイル・スクラムでの開発を行っていきます。
移行先を探す際、以前私が運営にも携わっていたアジャイルひよこクラブの皆さんにもアドバイスをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。